2023年10月11日、まだ人が住んでいる建造物を強制的に解体する、「行政代執行」が熊本市内で行われ大きな波紋を呼んでいます。
【解体】人が住む家を“強制取り壊し”、 行政代執行に所有者激怒 熊本https://t.co/VxZfCGyAtX
— ライブドアニュース (@livedoornews) October 15, 2023
対象となったのは、住人2人が住む住宅。解体理由は、都市計画で県道の幅を広げるため。市はこれまで所有者と交渉を続けてきたが、所有者は応じず、2022年からは面会もできなかったという。 pic.twitter.com/hwBMs6T7wu
現場では、「ルール違反ですよこれ!ほら始まった。見てください。ちゃんと伝えなきゃ!とんでもないことですよ!」と住人の女性が激しい怒りの声をあげる場面も…
そもそも一体なぜ、所有者が暮らす住宅を強制撤去する事態になってしまったのでしょうか。
今回は、熊本市で行政代執行が行われた場所はどこなのか、解体費用は60万超で、全額所有者負担の理由について調べてまとめました。
「代わりに行政がやってくれてラッキー!」とはならない落とし穴が潜んでいました…
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
熊本市行政代執行の場所はどこ?
行政代執行が行われた経緯
所有者が暮らす住宅を強制撤去、県が「行政代執行」着手…歩道拡幅などでの移転交渉が進まずhttps://t.co/CnxFDUzQTN#ニュース
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) October 12, 2023
そもそも行政代執行とは、
所有者が行政に変わって、建物などの適正管理に向けて取り組み(解体・撤去)などを行うこと
をいいます。
近年空き家の放置問題が表面化してきたことにより、全国の市町村で可能になった新たな制度のひとつです。
なぜ今回人がまだ住んでいる建物を解体することになったんだろう
今回、熊本市でこの「行政代執行」が行われた理由は、
都市計画の一環で、県道増幅および歩道拡大工事の為
でした。
「市は移転や補償の交渉を行っていたが、所有者が土地の明け渡し期限だった2020年以降も明け渡しに応じなかった。市は今年2月、県に行政代執行の請求を行った」
引用:読売新聞
熊本市側は、これまで15年にも渡って所有者と交渉を続けてきたものの、立ち退きに応じてもらえず、昨年からは面会もできない状況だったため、行政代執行に踏み切ったといいます。
所有者は「これはルール違反」と訴えるもこれまで交渉応じず…熊本県で初 現住建造物への行政代執行に着手
— たくや社長 | 地場不動産 (@fudousanlove) October 16, 2023
https://t.co/FFFIBRBtYp
今後の計画は以下の通り
▼2023年10月11日
午前8時半に県職員が現地訪れ交渉開始するも決裂。
午前10時に、行政代執行の開始を宣言。
約4時間に渡り、建物内部約4時間にわたって構造など調査。
▼2023年10月中旬~11月中旬
県側が具体的な解体方法を検討し、業者選定など実施
▼2023年11月下旬
解体工事着手
▼2025年度末を目標に事業全体(歩道の拡幅や電線を地中化する事業)の完了を予定
場所はどこ?
今回熊本市内で行政代執行が行われた場所はどこなのか、調べてみました。
建物がある場所は、
熊本県熊本市中央区西子飼町(県道337号沿い)
にある民家です。
ちょうどこのピンが立っているあたりですね
こちらの建物がある場所は、熊本市側が計画している「歩道拡幅工事」などの予定地に立地しているのだそうです。
Googleストリートビューで見ると、ちょうどこの建物のある部分だけ、歩道が一部狭くなっていることがわかりますね。
住宅の前には大きな交通量の多い県道が通っており、歩道が狭いことは歩行者にとっても危険ですね…
解体費用は60万超で全額所有者負担!
費用は所有者負担で高額!
一般的に県側からの交渉を受け入れ、自主的に立ち退きをした場合には、解体撤去・転居費用など相応な金額を県側に補償してもらうことが可能です。
立ち退き料の項目
・提供する土地の現在の価格
・同等の建物を立ち退きする前に再度建てる費用
・新しい移転先に引越しするための転居費用
・新しい建物が完成するまでに仮に住むための費用
・建物の他に都市計画道路の範囲内でかかる門扉や花壇などの工作物に対する補償 など
参考:https://fudosan-bengoshi.com/topics/6317330
しかし、行政代執行された場合、その解体費用などはすべて所有者に請求されることになります。
本来建物の適正な所有管理は所有者の責任であり、それを怠った為に行政が代わりに必要な対策を講じるという考えに基づくため
「ルール違反ですよ!」人が住む家を“強制取り壊し” 所有者の女性は激怒…都市計画のため“行政代執行”に 熊本市 #FNNプライムオンライン #イット https://t.co/sxkV7Ni9bX
— FNNプライムオンライン (@FNN_News) October 15, 2023
また、行政代執行で請求される費用は、通常の解体費用よりも高額になる傾向があります。
というのも、例えば自分で業者を選定して解体を依頼する場合、見積もりを取ったり、インターネット上で情報収集したりして、少しでも安い業者に依頼しようと考えますよね。
しかし、行政代執行の場合、そういった業者選定するのはすべて県側です。
県の取引業者や指定業者が必ずしも安価であるとは限りません。
建物の解体費用の他、付随する樹木の伐採やごみの処分なども同様に、高額になる傾向があるのです。
解体費用はいくら?
今回行政代執行される予定の建造物は、
・県道熊本菊陽線沿い
・木造2階建て住宅
・敷地面積33.9平方メートル
と言われています。

この建物の詳しい大きさはわかりませんが、大体同じ条件(敷地面積33.4平方m/木造2階建て住宅)で試算してみたところ、
解体費用は45~60万円(地域業者によって差あり)
ほどではないか、と思われます。
さらに、今回の現場は地図でみると分かる通り、目の前に交通量の多い県道があり、歩道ともかなり近接していますね。
解体工事の際には、片側通行止めにして交通整理が必要になったり、安全のため交通整備員を雇うなど、解体工事以外の「付帯費用」がかなり加算される可能性が高いと思われます。
そうなると、解体費用は少なくとも60万円以上となる可能性がありそうです。
世間の声
強制取り壊しは行政代執行が出たのはいよいよ何も対応しなかった家主が悪いな。
— どーら@Dora-Railway (@ikedora) October 16, 2023
行政代執行が出るまで、さまざまな案が出たはずなんだよな。
所有者が悪い。
行政代執行…とうとうあの家が。
— きゃりこ(こぐま組)🧸🌾 (@68nATTwL9WMXiSH) October 11, 2023
こればっかりは仕方ないんだよね…かわいそうだけど
これ分かる人は同業者かも
15年も交渉拒否し続けて、さらに去年からは会う事すら拒否 市が悪いように書いてるが、住民さんサイドにも問題がある
引用:X
これはダメです。熊本市が間違ってます。
引用:X
行政代執行は、非現住建造物で所有者が判明している建物が対象です。 倒壊等の恐れがあり、それを予防的に撤去するのが行政代執行の権限で有り、都市計画の為では有りません 。強制収用で、相応の補償金を支払うべきです。
住人が暮らししていて行政代執行はちょっと酷いような?価格の問題もかも知れないけど、思い入れのあるの家など住人の考えは分かりませんが
引用:X
怖い!
まとめ
今回は、熊本市で行政代執行が行われた場所はどこなのか、解体費用は60万超で、全額所有者負担の理由について調べてまとめました。
早ければ11月中旬から解体工事に着手するといいます。
もう時間は残されていませんが、双方が納得できる解決策を見出すことはできるのでしょうか。
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