梨の花粉付けと炭作りとレモネード


私たちが暮らしている焼山は、大きな2つの川に囲まれた30軒ほどしかない小さな集落だ。

この集落に商店はなく、買い物に行くには車が必須だ。

私たちはそんな集落に7年前に移住してきた農家だ。

春は農家にとっては大切な季節。

夏に向けて種まきを行う季節となる。

しかし私たちは、いつも種を撒いた後の苗づくりを失敗してしまう。

夫婦で農業をしていると、どちらかがやってくれると思ってしまい、気付いた時にはもう遅いことが毎年あるからだ。

だから、今年は水やりをする人のルールを決めることにした。

「息子を保育園に送らない人が水やり当番」

そんなユルイ決まり事でも、なぜかルールを作るとうまく行く。

夫婦とは不思議なものだ。

私たちのメインは果樹の栽培だ。

その中のひとつ、梨の栽培ではこの時期梨の花粉付けの作業がある。

梨の花が満開に咲くと、梨の花ひとつひとつに手作業で花粉をつける作業だ。

梨の実を確実に実らせ大きくする、梨の栽培作業の中で一番メインと言っていいくらい大きなイベントになる。

妻のひかりはこの作業が割と好きらしい。

新しい生命の誕生を自分の手で手助けできる感覚が好きなのだと言う。

ずいぶん哲学的なことを言うものだ。

一方、夫の私はこの作業が全ての農作業の中で一番嫌いだ。

せっかちな私は、目に見えて作業が進んでいる様子を見ないと気が済まないのだ。

だからこの作業は、花粉がついたかどうか目に見えず、達成感が全くないので大嫌いなのだ。

作業も妻はゆっくり丁寧に。

私は雑でもいかにスピーディーに終わらせるかをまず考えて仕事をする。

それでも私が花粉を付けた花には大きく形が良い実がつく。

この時ばかりはドヤ顔で勝ち誇った気分になる。

そんな梨の剪定でたくさんの枝が出るため、

その枝を使って何か楽しみたいと、小さな七輪を今年の始めに購入した。

その七輪を使って焼肉をすることが、今の私たちの最大の楽しみだ。

その焼肉を最大限楽しむために、自分たちで炭を作ることにした。

思いのほかよくでき、何より楽しかったのでかなり自信がついた。

時間を作って1年間使えるくらいの炭を作る決心をした。

自分たちの身の回りにある資材で何かをすることはとても楽しい。

そして達成感と喜びがあるのだ。

レモネードもそう。

苦節5年くらいでやっと実がついてくれたレモンで作った自家製のレモネードは格別だ。

一服の時間がまた楽しくなり、ますます仕事の時間が減りそうだ。


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